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不良や意図しない結果が出たときはどうする?

機械系エンジニアとして仕事をしていると、不良や意図しない結果に直面することは避けられません。
このような状況に遭遇した際、直感や過去の経験に基づいて対策をする人が多いです。
しかし、そのようなアプローチだと真の原因を特定できず、不十分な対策となってしまいます。

実際の原因を明確にするためには、それを「書き出す」ことが不可欠です。

この記事では、不良や意図しない結果が発生したときの適切な進め方について説明します。

  • この記事の要点
  • 複雑な方法は不要、エクセルで十分
  • 工程、部品、経路などを用いて現象を分類し、原因を書き出す
  • 可能性の高い原因から重点的に対策を考える

   

原因推定方法

不良や意図しない結果の原因を特定すること非常に重要です。
そこで、世の中には多くの原因特定の方法、例えば「フィッシュボーンチャート」などが開発されています。
しかし、これらの方法は現場での利用には手間がかかりすぎる場合がほとんどです。
結果として頭の中で考えるだけで終わったり、打ち合わせでとりあえず出た案に対してのみ対策を検討してしまうということになりがちです。

そこで、今回おすすめするのは、エクセルを用いて原因を「書き出す」だけというな方法です。

エクセルを使用した原因推定方法:

  1. タイプに応じて以下を選ぶ
  • 製造工程
  • 部品
  • 経路
  1. それぞれに対して考えられる原因を書き出す。
  2. 書き出した項目に対して現状確認が取れていることを書き出す
  3. それをもとに、原因として可能性があるかどうかを判断する
  4. 追加で検証が必要な項目を書き出す
  5. 各項目に対して優先度をつけ、実際の作業を進める

具体例

わかりにくいかと思いますので、具体例を用いて説明します。

工程に基づく分析の場合

例として、完成品の寸法不良が見つかったということを想定します。

1.タイプを選ぶ

この場合は製造開始から完成までのどこかに不良があった可能性が高いため、工程ごとに考えることにします。
具体的には部品の受け入れから梱包までの工程を書き出します。下表のような形になります。

2.それぞれに対して考えられる原因を書き出す

部品の受け入れ工程の場合、「部品に打痕があった」や、「部品自体の寸法がNGだった」などが挙げられます。
ここでは思いついたものを列挙していきます。

3.書き出した項目に対して現状確認が取れていることを書き出す

例えば「部品に打痕があった」に対して、実際はどうだったのかを確認します。
今回の場合、受け入れの外観検査では異常がなかったため、「受け入れ検査はOK」と記載します。

同じような考え方で、組立工程Bを考えます。
このときの原因として「治具の押さえが不十分」というものがあったとします。
これに対しては現状確認が取れていないとします。その場合は空欄のままとなります。

4.それをもとに、原因として可能性があるかどうかを判断する

確認が取れている事項がない場合、それが原因の可能性はゼロではないため、原因の可能性の項目には△などを記載します。

5.追加で検証が必要な項目を書き出す

上述の治具の場合、押さえている部品に問題がないかをチェックすればよいため、
追加で検証が必要な項目として部品のチェックを入力します。

6.各項目に対して優先度をつけ、実際の作業を進める

書き出した項目を全て実施するのは時間や人員の都合で難しい場合が大半です。
そこで次に優先度を考えます。

今回の例では検査工程Aの検査治具の寸法異常があった場合を考えます。
この治具の寸法が今回発生した寸法不要に大きく影響する場合、これの確認が最も優先度が高くなります。
したがって、この追加検証を優先度を上げて対応することにします。

  

経路に基づく分析の場合

下図のような流れに対して、圧力損失が当初想定より高くなったという事象を考えます。
このときは経路に分けて、考えられる原因を挙げていきます。


このときは経路に分けて、考えられる原因を上げていきます。
先ほどと同様のやり方をすると、下表のようなものが出来上がります。
この場合、流れの仮定に問題がありそうなので、レイノルズ数を確認したり、解析ソフトを使って流れを再確認するということが対応事項として挙げられます。

このように表に書き出すことで頭の中がすっきりし、建設的な議論ができるようになります。

  

まとめ

不良や意図しない結果に遭遇した際の対処法として、原因を正確に特定することは非常に重要です。
原因をきちんと整理せずに対策を進めてしまうと後戻りが多くなります。

そのための最初のステップとして、「書き出す」という方法を試してみてください。

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