機械設計では初期検討から量産までのステップがあり、その中で多くの課題や困難に直面します。
特に若手の設計者にとって、その過程での多くの不明点や疑問が生じます。
中には何から始めればよいのか全くわからず、途方にくれることもあるかと思います。
その際、何から手をつけるべきなのか、その答えを見つけるための方法を説明します。
何から手をつければ良いのか?
1. タスクのリストアップ:全体像を掴む
何から手をつければ良いのかが不明確な場合、最初の一歩として手元の情報を整理することが効果的です。
具体例1:試作品の設計
どのように進めるべきか不明確な場合、以下のように情報を整理してみましょう。
- 試作品の要求仕様を確認する
- 試作品の目的、必要な成果物が何かを確認する
まずは要求事項(input)と目的、成果物(output)を明確にするところから始めます。
ここが不明なまま始めようとすると、途方に暮れることとなります。 - 過去に似たような設計がないか調べる/聞く
ここが特に重要です。ゼロから始めるのは大変なので、過去の設計例を流用して設計することが有効です。
よほどのことがない限り、似たような設計を過去に実施しているはずなので、周りの人に聞いて過去の設計例を探してください。 - 過去の設計をもとに、大まかな形状やサイズ感を作図する
- 各部品の組み合わせを考慮し、それをもとに図面を作成
このようなリストアップを行うことで、何から始めればよいかの方向性が見えてきます。
2. イメージしながら細分化:ステップを明確に
大きなタスクを見ると圧倒されることが多いですが、それを小さなステップに分解するようにしましょう。
小さなステップに細分化するためには、具体的な手順をイメージすることが有効です。
具体例2:試作品の準備から評価まで
以下のように実際の手順を細分化してみましょう。
- 大まかな手順をリストアップ
・部品の発注
・組立の依頼およびスケジュール確保
・評価の依頼およびスケジュール確保
・評価結果のまとめフォーマットの作成 - それぞれの必要な工具や設備を整理し、リストアップ
・部品はそれぞれどこに発注するか?
・それぞれの部品は製作に何日かかるか?
・組立に必要な治具は何か?
・治具の準備に何日かかるか?
・評価に必要な工具や設備、部品は何か?
→このとき実際に評価する手順をイメージしながら、抜けがないか確認します。
・それらはすでに手元にあるか?ない場合は準備に何日かかるか?
・評価には何日かかるか?
・どのようなまとめ方をすればよいか? - リストアップした項目および日数をスケジュール表としてまとめる
エクセルのテンプレートから適当な「ガントチャート」フォーマットをダウンロードするのがおすすめです。 - 製作したスケジュール表で抜けがないかをチェックしてもらう
スケジュール表があれば、先輩や上司も抜けがないかチェックしやすくなります。 - 完成したスケジュール表をもとに作業を進める
この細分化作業の際に、細分化できないところが「不明点」です。
不明点については調べる、あるいは誰かに聞くことで突破口が開けます。
3. 経験者に相談
何をどうすればよいか分からない問題に直面した場合、経験者の知見も非常に役立ちます。
ただし、何も考えずに聞くだけだと自身の成長につながらないため、何らかの「仮説」を立てることが重要です。
わからないなりに何らかの「仮説」を立てるためには以下が有効です。
具体例3:組立の際の問題点
問題が発生したが、どうしたら良いかわからない場合、以下のように書き出してみましょう。
- 具体的にどのような問題が発生したのか書き出す
- その問題がどのような影響を与えるのか書き出す
・評価不可能な問題なのか
・評価自体はできるのか
・1から作り直さなければならない問題なのか - 自分なりの解決策やアイディアをまとめる
・とりあえずの対策として補強や部品の削除などで対応できないか?
・何か手元にある部品で代替できないか? - 上司や経験豊富な先輩に相談し、アドバイスを求める
何らかの案があれば、それの可否を判断してもらえます。また、追加のアドバイスを教えてもらえるかもしれません。 - 提案された解決策やアイディアをもとに、組立を再開
自身で考え付かなかったアイデアをアドバイスしてもらえた場合、それが自身の「経験」として新たな「知識」になります。
この繰り返しで様々なアイデアが浮かぶようになります。
まとめ
機械設計の道は長く、多くの課題や困難が待ち受けています。
しかし、上述の方法を活用することで、より効率的に、そして確実に前進することができます。
細分化ができない部分が自身の不明点です。これについて調べたり聞いたりすれば突破口が開きます。
焦らず一歩ずつ、確実に進めていきましょう。